NARC通信 第23号

NARC通信 第23号

平成20年10月15日発行

  

ラオスの農山村地帯における太陽光発電の利用


ナムスワン複合養殖農場での試行
2007年11月から、ナムスワン複合養殖農場(NARC通信12、17、20号参照)で、小型<太
陽光発電パネルを利用する試みを行っています。目的は農場の養殖池に誘蛾灯を設置
することです。夜間に誘蛾灯をつけると、集まった小虫が水面に落ちて魚の餌になり
ます。また、誘蛾灯をつけることによって、養殖魚の盗難を防ぐ効果もあります。太
陽光発電による誘蛾灯なら電気の来ていない農山村でも設置できますし、電気が来て
いるところでも電気代なしに誘蛾灯をつけることができます。

日本で買った最大出力18W、アモルファス・シリコン素子の太陽光バッテリー充電器と
コントローラー(実は両方ともアメリカ製)をラオスに運びました。現地で自動車用
のバッテリーと12V直流用の16W蛍光灯を買い、使用説明書を見ながらおそるおそる各
部品を接続しました。最初の2日間くらいは、日中はバッテリーの充電し、夜間は8時
間くらい蛍光灯をつけることができました。しかし3日目になると、蛍光灯がつかなく
なり、日中はコントローラーの充電ランプがつかなくなりました。太陽光発電に何の
知識もなく、しかも電気にからきし弱いため、システムが働かなくなった原因の見当
もつかず、太陽光バッテリー充電器を買った日本の代理店にむかっ腹を立てたり、
バッテリーやコントローラーを交換したりと、わけも分からないまま悪戦苦闘しました。
そのうちに、16Wの蛍光灯が大きすぎたこと、自動車用バッテリーは過放電に弱いこと、
太陽光発電パネル本体やコントローラーはちょっとやそっとのことでは壊れないこと、
しかし発電パネルの出力部分の配線が雨水でショートしてパネルが作動しなくなった
こと、などが徐々に分かってきました。蛍光灯を消費電力の少ないLEDに取り替えたり、
バッテリーをこまめに点検したりすれば、小型太陽光発電システムはラオス農山村地帯
で十分便利に使えると確信するようになりました。現在は小型太陽光発電パネルを2基
に増やして、一つを誘蛾灯、もう一つを6Vバッテリーの充電用に使うようにしています。
6Vのバッテリーは農山村住民にとって、夜間の作業やカエル採りに欠かせないヘッド
ランプの電源となる重要なものです。今後は、できるだけラオスで入手可能な材料を
使って、価格が安くメンテナンスフリーに近い、太陽光発電パネルを使った誘蛾灯ユ
ニットやバッテリー充電ユニットを開発したいと思います。


取り付けられた太陽光発電パネル


太陽光発電による誘蛾灯

ラオス農山村部における太陽光発電システム利用の状況
ラオスの農山村を歩くと、けっこうあちこちで太陽光発電システムが使われているの
が見られます。ヴィエンチャン県ケオウドム郡の、ナムグムダム湖(NARC通信5号参照)
に浮かぶ離島ドンサイウドム村には、バッテリーを充電するためのかなり大きな太陽
光発電装置が、わが国の援助で設置されています。設置後10年くらい経っているのに
いまだにきちんと管理され有効に使われているようです。

ヴィエンチャン首都圏サイタニ郡の農村では、一軒の農家に太陽光発電によって
1日に何時間かテレビを観ることができるようなシステムが設置されていました。テレ
ビがつくと村の子供たちがたくさん集まってきて、皆食い入るように見入っていました。

ヴィエンチャン県フアン郡の電気がまだ来ていないポンサヴァン村(NARC通信13号参照)
では、いくつかの農家の屋根の上に小さな太陽光発電パネルが見られました。台所に
バッテリーとコントローラーが置いてあり、スイッチを入れると電灯がつくようになって
いました。しかし、バッテリーもコントローラーもクモの巣だらけで、ほとんど何の
管理もされていないようで、コントローラーはとうの昔に壊れてしまったとのことです。
しかし、スイッチをひねると電灯がつくところをみると、太陽光発電システムは十分
に役に立っているわけです。

ヴィエンチャン首都圏サントン郡のハイタイ村では、ちょっと大型の太陽光発電パネ
ルを使って川から水を汲み上げています。汲み上げた水はコンクリートパイプを積み重
ねて作ったタンクに貯め、野菜畑への灌漑用水にしています(足立久美子さんからの情報)。

サバナケット県のピン郡では、太陽光発電パネルを使っていくつもの6Vバッテリーを充電し、
周辺の住民に貸し出す商売をしている者がいました。先進国ではエコだ省エネだと大騒
ぎの中で、太陽光発電パネルの大型化、高性能化が進められているようですが、小型化、
低価格化の方向も追求してもらいたいものです。


村の太陽光蓄電装置


太陽光発電で映るテレビを見る村の子供たち


太陽光発電による揚水施設