NARC通信 第27号

NARC通信 第27号

平成21年11月8日発行

  

センマニー君の黒豚計画

佐野幸輔

ラオス都市近郊における養豚はタイから輸入された成長の早い交配種の仔豚と配合飼料を使
い、お金のかかる方法が一般的です。しかし、農山村地帯では配合飼料を使わなくても育つ
在来の黒豚が飼育されています。この黒豚は大きくはなりませんが、安価な米ぬかや野菜な
どで育て繁殖させることができます。黒豚はモン族(NARCが支援しているメンタオ君の民族)
が育てていることで有名なようです。ルアンパバーン県地方には「ムーラオスーン」という
言葉があります。直訳すると「豚はモン族」ですが、「モン族が育てた豚は美味しいぞ」と
いうことのようです。

黒豚の飼育は農山村地域の農民が自立するための手段としてもっと注目されるべきだと思い
ますが、飼育方法に関する情報が整備されていないのが現状です。そこで、ナムスワン養殖
開発センターで働いているセンマニー君(28歳、農業専門学校卒)に自宅で黒豚飼育試験を
してもらい、飼育方法に関していろいろの情報を得たいと考えました。ラオス南部サラワン
県の農村地帯出身のセンマニー君は飼育方法に関してある程度の経験を持っているようです
が、日本人である私の目を通して黒豚飼育を見てみたいと思います。飼育試験は、奥さんと
子供が一人いるセンマニー君一家の生活支援、自立支援も目的としています。

飼育試験の資金はNARCが提供し、豚小屋は10月1日に完成しました。6,200円分の材料を使い、
センマニー君が家の前の養殖池のほとりにわずか3日で建設しました。10月3日に近くの52KM
村の市場から仔豚4匹を11,000円で買い飼育を開始しました。豚が無事に成長し繁殖したら、
仔豚をセンマニー君とNARCで折半する予定です。将来はバイオガスタンクを豚小屋の横に設
置して、ガスは家庭用燃料、液肥は養殖池への肥料として使えるようにしたいと考えています。

かわいい仔豚(いつの日か美味しい焼き豚に)

センマニー君、豚小屋、養殖池



ボリチャンさんの弟がフットサル競技場を建設

池ノ上宏

NARCが自立支援を行っているボリチャンさん(本通信にたびたび登場)は、現在ラオス畜水
産局の臨時職員として働きながら、日本の自然環境研究財団の調査団、神戸大学の調査団、
東京国際大学学生の現地実習などの通訳としても活動しており、立派に自立したといえるの
ではないかと思います。今回登場するのは、彼女の弟チャンダラポン君です。

チャンダラポン君は母親のヌーハクさん(ナムスワン養殖センター所長代行)の心配をよそに
サッカーに熱中し、去年まではラオス代表チームのメンバーとして国内、海外を転戦し、一
時はベトナムのプロリーグでプレーしました。その彼も25歳になると現役選手としての限界
を感じ、サッカーで培った経験を活かした仕事をやりたいと考えるようになりました。その
結論はフットサルコートを経営するというものです。ラオスはサッカー熱が盛んで、あちこ
ちにアマチュアのチームがあります。その連中にフットサルコートを時間貸しして収入を得
ると同時に、子供たちにサッカーを教えて、青少年の育成に貢献するという構想です。照明
装置をつけて人工芝を敷き、夜間でも、多少の雨が降ってもプレーできるフットサルコート
を3面つくるという計画は、ちょっと野心的過ぎるのではないかと思いました。しかし、彼は
資金面や手続き面で母親のヌーハクさんの助けも借りて、郡当局から土地を借り、重機を雇っ
て土地を整備し、フィアンセや友達と汗を流して労働し、今年の7月には、フットサルコート
を3面作ってしまいました。夜間照明を造るお金が足りないというので、NARCとして2,000ドル
を寄付しました。そして8月には営業開始にこぎつけました。3面に人工芝を敷きつめるには
資金が足りず、2面は天然芝、1面は芝なしです。

今のところ天気さえ良ければ週末には1日5-7ゲーム、その他の日にも2-3ゲームの予約がある
ようです。1ゲーム10万キープ(約1,100円)ですから、まあまあの出だしです。ヌーハクさん
やボリチャンさんも仕事が終わった後にコートに駆けつけて掃除や客の接待などを手伝って
います。これから順調に事業が発展することを祈るのみです。

[お願い] いらなくなった子供用のサッカーシューズやユニフォームがありませんか?NARC
送っていただければ、チャンダラポン君に届けます。彼はそれをサッカー教室にくる子供たち
に安く売って収入を得ることができるし、子供たちもサッカースシューズやユニフォームをつ
けて練習できるので喜びます。
チャンダラポン君(中央)、フィアンセ、仲間

完成したコートでプレーするお客